認知症の方と外出したとき、突然「ここはどこ?」「帰りたい」と不安そうになったり、落ち着かなくなったりすることがあります。
その場で強く説明したり、無理に行動を止めたりすると、かえって不安が大きくなることもあります。
大切なのは、まず安心できる状態をつくり、本人の表情や動きを見ながら、できるだけ刺激を減らして対応することです。
課題の本質
いつもの場所なら分かることでも、見慣れない環境では「何をすればよいのか」が分からなくなり、不安につながることがあります。
また、疲れや空腹、トイレに行きたい、暑い・寒いなどの身体的な不快感が重なっている場合もあります。
「なぜ不安なのか」を本人に説明してもらうことだけに頼らず、表情や動作から困っていることを探す視点が大切です。
実践のコツ
```1)まず安心できる場所へ移動する
- 手順
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人の出入りが多い場所や大きな音のする場所から、少し離れた静かな場所へ誘導します。
「大丈夫ですよ。こちらで少し休みましょう」と短く伝え、急かさず本人の歩く速さに合わせます。
- 理由
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刺激が多い場所では、不安や混乱がさらに強くなることがあります。
場所を変えるだけで、周囲から受ける情報量を減らせる場合があります。
- 観察ポイント
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表情が少し穏やかになったか、声の大きさや動きが落ち着いたかを見ます。
立ち止まれる、座れる、周囲を見る余裕が出るなどの変化も手がかりになります。
- よくある失敗
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「ここにいてください」とその場で制止し続けることです。
本人が危険な場所にいる場合を除き、まず刺激を減らせる場所へ移ることを考えます。
2)言葉を短くして気持ちを受け止める
- 手順
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「どうしたの?」と質問を重ねるより、「不安になりましたね」「一緒にいますよ」と伝えます。
一度に多く説明せず、本人の反応を確認しながら次の言葉を選びます。
- 理由
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不安が強いときは、長い説明を理解することが難しくなる場合があります。
正しさを伝えるより、「分かってもらえた」と感じられることが安心につながります。
- 観察ポイント
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目線が合うか、表情が和らぐか、同じ言葉の繰り返しが減るかを見ます。
- よくある失敗
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「さっき説明しました」「ここに来ることは分かっていたでしょう」と正しさを求めることです。
事実の訂正より、今の不安を小さくすることを優先します。
3)身体的な不快感を確認する
- 手順
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「お手洗いは大丈夫ですか」「少し休みますか」「お水を飲みますか」など、具体的に確認します。
暑さ・寒さ、疲れ、空腹なども確認し、必要なら予定を短縮します。
- 理由
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本人が不安の理由を言葉で説明できなくても、身体の不快感が落ち着かなさとして表れることがあります。
- 観察ポイント
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落ち着かず歩き続ける、衣服を気にする、顔をしかめる、飲み物を求めるなどの変化に注目します。
- よくある失敗
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「認知症だから不安になっている」と決めつけることです。
身体的な不快感や体調の変化が隠れていないか、毎回確認することが大切です。
4)帰る・続けるを本人と相談する
- 手順
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休んでも不安が続く場合は、「もう少し休みますか」「帰りますか」と選びやすい形で尋ねます。
安全面を確認しながら、外出を続けることだけを目標にしないことも大切です。
- 理由
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本人が強い不安を感じているときに予定を優先すると、外出そのものが苦痛な経験になってしまうことがあります。
- 観察ポイント
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休憩後も不安が続くか、歩行や会話が普段と大きく違わないかを確認します。
いつもと違う強い変化がある場合は、無理に予定を続けないことも考えます。
- よくある失敗
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「せっかく来たのだから」と予定を最後までこなそうとすることです。
外出の目的は予定を達成することだけではありません。安心して過ごせたことも大切な成果です。
チェックリスト
- 人混みや大きな音を避けられる場所がある
- 休憩できる場所を事前に確認している
- トイレの場所を把握している
- 水分や必要な休憩を確保している
- 本人に短く分かりやすく伝えている
- 予定を短縮して帰る選択肢を持っている
ミニQ&A
A. 「帰りたいんですね」と気持ちを受け止めたうえで、静かな場所へ移動したり休憩したりします。正しさを説明し続けるより、安心できる状態をつくることを優先しましょう。
A. 本人の不安の強さ、安全面、疲労の程度を見ながら判断します。休んでも落ち着かない場合は、予定を変更して帰ることも大切な選択肢です。
まず静かな場所へ移動し、短い言葉で安心を伝え、疲れやトイレなどの不快感を確認する。この3つだけでも十分です。明日の外出では、休憩場所を1つ決めておくことから始めてみてください。
