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2026.10.07

インフルエンザの予防

インフルエンザは、介護の場では「本人が感染してつらい」だけでなく、周囲の利用者や職員へ広がることにも注意が必要です。特に高齢者は重症化することがあるため、日頃の予防と早い気づきが大切です。ここでは、感染を防ぐための基本、感染を疑ったときの対応、介護中に気をつけたいポイントを、現場で実践しやすい形で整理します。

課題の本質

インフルエンザ対策の基本は「持ち込まない・早く気づく・広げない」です。

介護施設では、利用者同士の距離が近く、食事や入浴、排泄などで職員との接触も多いため、1人の感染をきっかけに集団発生へつながることがあります。

また、高齢者では典型的な高熱が出ない場合もあります。発熱だけを見るのではなく、急な倦怠感、食欲低下、咳、鼻水、のどの痛み、いつもより元気がないといった変化にも目を向けることが重要です。

実践のコツ

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1)日頃から「持ち込まない」環境をつくる

手順

外出後やケアの前後は、流水と石けんによる手洗いを基本にします。

必要な場面では手指消毒も活用し、職員自身の体調確認も習慣にします。流行期には、人混みから戻った後などの感染対策を特に丁寧に行います。

理由

手指についた病原体を落とすことは、感染対策の基本です。

介護では、手すり、ドアノブ、食事用品など多くの物に触れるため、手指衛生を「特別な作業」ではなく日常の動作として続けることが大切です。

観察ポイント

職員や利用者に、咳、鼻水、のどの痛み、倦怠感などがないか確認します。

面会者についても、体調不良時には無理な面会を控えてもらうなど、施設のルールに沿って対応します。

よくある失敗

「手袋をしているから手洗いは不要」と考えてしまうことです。

手袋の着脱時にも手指衛生が必要です。手袋だけに頼らず、場面ごとの手洗いを確実に行いましょう。

2)換気・湿度・マスクを場面に合わせる

手順

室内はこまめに換気し、乾燥しやすい時期には適切な湿度を保ちます。

厚生労働省は、乾燥しやすい室内では湿度50~60%を目安としています。高齢者施設では、重症化リスクの高い方を守るため、職員のマスク着用も推奨されています。

理由

換気は室内に滞留する病原体を減らすための基本的な対策です。

ただし、寒さを我慢させる必要はありません。利用者の体調や室温にも配慮しながら行います。

観察ポイント

換気後に寒がっていないか、咳が増えていないかを確認します。

マスク着用時は、苦しさや不快感がないかも見守ります。

よくある失敗

感染対策を優先するあまり、室温や利用者の負担を見落とすことです。

換気・加湿・衣類などを組み合わせ、無理なく続けられる環境を整えます。

3)「いつもと違う」を早く見つける

手順

体温だけで判断せず、食事量、水分摂取、表情、活動量、咳や鼻水などを普段と比較します。

急な変化があれば、施設の報告手順に沿って看護職や管理者などへ早めに共有します。

理由

高齢者では発熱が目立たない場合があるためです。

「熱がないから大丈夫」と決めつけず、複数の変化を合わせて考えることが大切です。

観察ポイント

急な倦怠感、食欲低下、咳、のどの痛み、鼻水、筋肉痛などを確認します。

いつもより眠っている、会話が少ないなど、本人特有の「小さな変化」も記録しておきます。

よくある失敗

「少し元気がないだけ」と様子を見続けてしまうことです。

感染症が疑われる場合は、自己判断で様子見を長引かせず、施設の手順に沿って相談・受診につなげます。

4)感染を疑ったら「接触を減らして、早く相談する」

手順

インフルエンザが疑われる場合は、施設の感染対策の手順に従い、可能な範囲で個室対応などを行います。

ケア時は不織布マスクを着用し、本人が居室から出る場合も施設のルールに沿ってマスクを使用します。早めに医師の診察につなげます。

理由

感染している可能性がある人との接触機会を減らすことで、周囲への広がりを抑えやすくなります。

治療につなげるためにも、症状を早く把握して医療職へ情報を渡すことが重要です。

観察ポイント

呼吸状態、水分摂取量、食事量、意識や反応、体温などを継続して確認します。

急激な体調悪化や強い呼吸苦など、緊急性が疑われる変化があれば、施設の緊急時手順に従って対応します。

よくある失敗

感染を疑った後も、普段と同じように集団で食事をしたり、他利用者と長時間接触したりすることです。

ただし、必要なケアまで省くのではなく、安全を確保しながら接触時間や人数を調整します。

5)介護職は「感染を広げない動き」を意識する

手順

感染者へのケアでは、マスクなど必要な個人防護具を施設の基準に沿って使用します。

ケアの前後に手指衛生を行い、使用物品や環境の清掃・消毒も施設の手順に従います。複数の感染者が出た場合は、施設の行動計画に沿って対応します。

理由

介護職は複数の利用者に接するため、職員を介した感染拡大を防ぐ視点が欠かせません。

感染者だけを見るのではなく、まだ症状のない利用者を守ることも重要です。

観察ポイント

職員自身に発熱や咳などの症状がないかも確認します。

体調不良時の勤務については自己判断せず、施設の就業・感染対策ルールに従って報告します。

よくある失敗

人手不足を理由に、体調不良のまま無理をして勤務してしまうことです。

施設内感染を防ぐためにも、体調変化を早めに報告できる職場づくりが大切です。

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チェックリスト

  • 手洗い・手指消毒のタイミングを確認
  • 職員・利用者の体調変化を確認
  • 室内の換気と適切な湿度を確認
  • 流行期のマスク使用を確認
  • 感染を疑う人の接触範囲を調整
  • 個室対応など施設の手順を確認
  • 看護職・管理者への報告を徹底
  • 受診・医療機関への相談につなげる

ミニQ&A

Q. 熱がなければインフルエンザの可能性は低いですか?
A. 高齢者では発熱が目立たない場合があります。急な倦怠感、食欲低下、咳など「いつもと違う変化」も含めて観察し、疑わしい場合は施設の手順に沿って相談しましょう。
Q. 感染した利用者の介護で、特に大切なことは何ですか?
A. 必要なケアを続けながら、接触機会を調整し、手指衛生やマスクなどの感染対策を確実に行うことです。個室対応や職員の防護などは、施設で定めた手順に従ってください。
インフルエンザ対策は、特別なことを一度だけ行うより、「手洗い」「体調確認」「換気」「早めの報告」を毎日のケアに組み込むことが大切です。まずは今日の勤務で、利用者の「いつもと違う」を1つ見つける意識から始めてみましょう。感染を疑ったときは一人で判断を抱え込まず、施設の手順に沿って看護職や管理者、医療機関につなげることが、利用者と仲間を守る一歩になります。
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