認知症のある方にマスクをつけてもらっても、気になってすぐ外してしまうことがあります。何度も注意すると本人も介護者も疲れてしまいます。大切なのは「外さないよう説得する」ことだけではありません。マスクを使いやすくする工夫と、手洗い・換気・距離などを組み合わせて、無理なく感染対策を続ける方法を考えてみましょう。
課題の本質
耳ひもが痛い、息苦しい、暑い、眼鏡が曇る、顔に触れる感覚が気になるなど、身体的な不快感が隠れていることがあります。
また、認知症の進行によって、マスクをつける目的を覚えていられなかったり、「何かを口元に当てられている」という違和感だけが強く残ったりする場合もあります。
まずは「なぜ外すのか」を責めずに観察しましょう。原因が分かれば、マスク以外の感染対策を組み合わせる選択肢も見えてきます。
実践のコツ
```1)外す理由を先に探す
- 手順
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マスクをつける前後の表情や動作を観察します。
耳を触る、口元を気にする、ため息をつくなど、外す直前の様子を確認しましょう。
- 理由
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原因が不快感なら、声かけを増やすより装着方法や環境を変えるほうが負担を減らせます。
- 観察ポイント
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耳ひもの当たり、マスクの大きさ、暑さ、息苦しさ、眼鏡の曇りを確認します。
「つけた直後に外す」のか「しばらくして外す」のかも大切な手がかりです。
- よくある失敗
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「外しちゃだめ」と繰り返してしまうことです。
本人の不快感が解決されないまま注意だけが続くと、拒否や不安が強くなることがあります。
2)短い言葉で目的を伝える
- 手順
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「感染症を予防します」と長く説明するより、「人が多いから、これをつけましょう」と具体的に伝えます。
本人の目の前で介護者も装着すると、行動をまねしやすくなります。
- 理由
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認知症がある方には、長い説明よりも、その場で何をするのかが分かる短い声かけが伝わりやすい場合があります。
- 観察ポイント
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声かけ後に表情が和らぐか、手を止められるかを見ます。
不安そうな表情や拒否が強い場合は、いったん距離を置くことも大切です。
- よくある失敗
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感染症の危険性を何度も説明して納得してもらおうとすることです。
説明よりも安心できる声の調子や、介助者が一緒に行う姿勢を優先しましょう。
3)つける時間と場面を絞る
- 手順
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外出時や人が集まる場所など、特に必要な場面での装着を優先します。
ずっとつけてもらうことだけを目標にせず、本人が受け入れやすい時間から始めます。
- 理由
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長時間の装着が負担になる方では、短い時間から慣らすほうが拒否につながりにくいことがあります。
- 観察ポイント
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人混み、乗り物、待合室など、外しやすい場面を記録します。
「どこならつけていられるか」も同時に見つけましょう。
- よくある失敗
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自宅でも外出先でも一律に装着を求めることです。
場面ごとの必要性を考え、負担の大きい状況では別の感染対策を組み合わせます。
4)マスク以外の対策を重ねる
- 手順
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手洗いや手指衛生、換気、人混みを避けること、体調不良者との接触を減らすことなどを組み合わせます。
食事や水分補給の際は、マスクを無理に装着したままにしないよう安全を優先します。
- 理由
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感染対策はマスクだけで成り立つものではありません。本人がマスクを継続できない場合も、複数の方法を重ねることで対策を続けられます。
- 観察ポイント
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手洗いを嫌がらないか、換気で寒がらないか、人混みで不安が強くならないかを見ます。
- よくある失敗
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「マスクを外す=感染対策ができない」と考えてしまうことです。
できている対策を確認し、無理なく続けられる方法を増やしていきましょう。
無理に続けないほうがよいサイン
息苦しそう、顔色が悪い、強い不安や混乱がある、マスクを引っ張って首や顔を傷つけそうなどの場合は、装着を続けることより安全を優先します。
呼吸器の症状がある、体調が急に変化したなどの場合は、マスクの問題だけと考えず、必要に応じて医療職や主治医などに相談しましょう。
チェックリスト
- 外す直前の表情・動作
- 耳ひもや大きさの不快感
- 暑さ・息苦しさ
- 短く具体的な声かけ
- 人混みなど必要な場面での使用
- 手洗い・換気・距離の組み合わせ
ミニQ&A
A. 毎回注意するより、外す理由を探しましょう。短い声かけに変えたり、必要な場面に絞ったりすることで負担を減らせる場合があります。
A. マスクだけに頼る必要はありません。手洗い・手指衛生、換気、人混みを避けることなど、本人が受け入れやすい方法を組み合わせていきましょう。
