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2026.09.03

施設と自宅では服薬調整も違いがある

「施設に入ってから薬が増えたのはなぜ?」と、家族が戸惑うことがあります。自宅では大きな問題がなかったように見えても、施設では集団生活ならではの困りごとが起こる場合があります。この記事では、薬の増減だけを見るのではなく、その背景にある本人の生活や行動を理解し、家族と施設が一緒に考えるための視点を整理します。

課題の本質

施設入所後に薬が調整されると、家族は「家では飲んでいなかった薬なのに」「施設が対応しやすくするためでは?」と感じることがあります。

しかし、施設では本人だけでなく、ほかの利用者の安全や生活も同時に守る必要があります。大声、強い拒否、他者への接近や手が出る行為、夜間の不穏などが続くと、本人自身が困っているだけでなく、周囲にも影響することがあります。

一方で、薬には眠気やふらつきなどの影響が生じる可能性もあります。そのため「薬が増えたから良い」「薬が増えたから悪い」と単純に判断するのではなく、何が起きていて、なぜ薬の調整が検討されたのか、その後に本人がどう変化したのかを見ることが大切です。

実践のコツ

1)「薬が増えた」という結果だけで判断しない

手順

まず施設に、薬が調整されるきっかけになった出来事を確認します。

「いつ」「どこで」「何が起きたのか」を具体的に聞いてみましょう。

理由

薬の変更だけを見ていると、本人が抱えていた不安や困りごとが見えなくなります。

背景を知ることで、家族も施設も同じ出来事を別の角度から考えられます。

観察ポイント

夕方だけ落ち着かない、特定の人に近づく、介助時に拒否が強いなど、起こる時間や場面を確認します。

「いつも」ではなく、具体的な状況を聞くことがポイントです。

よくある失敗

「家ではそんなことはなかった」と、施設での観察を否定してしまうことです。

自宅と施設では環境が違います。まずは施設で何が起きているのかを聞く姿勢が大切です。

2)面会時の様子だけで一日の状態を判断しない

手順

面会で穏やかだった場合も、「普段はどうですか?」と職員に尋ねます。

食事、睡眠、排泄、他者との関わり、介助時の様子など、一日の流れを確認しましょう。

理由

家族が来ると安心して落ち着く方もいます。

短時間の面会では、夜間や夕方、介助場面など、家族が見ていない時間の様子が分からないことがあります。

観察ポイント

面会時の表情だけでなく、眠気、歩き方、会話、食事の様子などにも目を向けます。

薬の変更後に新しい変化がないかも、施設と共有します。

よくある失敗

面会時に穏やかだったことだけを根拠に、「薬は必要ないのでは」と判断することです。

面会時の様子は大切な情報ですが、一日の状態の一部分として捉えましょう。

3)薬の目的と変化を具体的に確認する

手順

「何のための薬ですか?」だけでなく、「どのような症状を対象にしていますか?」と確認します。

変更後に期待している変化や、見ておきたい変化についても施設や医療職に尋ねます。

理由

薬の名前や量だけでは、家族には目的が分かりにくいものです。

目的と経過が共有されると、薬の必要性について落ち着いて話し合いやすくなります。

観察ポイント

眠気、ふらつき、食事量、活動性など、変更前と比べて気になる変化がないか確認します。

気になる変化があれば、自己判断で中止せず、施設や医療職に伝えます。

よくある失敗

「薬を減らしてください」と結果だけを求めてしまうことです。

まず目的と効果、気になる変化を共有し、そのうえで見直しについて相談することが大切です。

4)行動の背景を施設と一緒に探る

手順

困った行動を「問題行動」とだけ捉えず、その前後に何があったのかを確認します。

疲れ、騒音、待ち時間、排泄の不快感、不安など、きっかけを探します。

理由

認知症の方の行動には、本人なりの理由や困りごとが隠れていることがあります。

環境や関わり方を変えることで、薬以外の対応につながる場合もあります。

観察ポイント

特定の時間帯、場所、人、介助内容との関連を見ます。

落ち着く条件も同時に探すと、本人に合った支援を考えやすくなります。

よくある失敗

「薬で抑えるしかない」と最初から決めつけることです。

薬の検討と並行して、環境調整や声かけ、生活リズムなども振り返ります。

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チェックリスト

  • 薬が調整されたきっかけを確認した
  • 困りごとが起こる時間帯を確認した
  • 面会時以外の様子を聞いた
  • 薬の目的と期待する変化を確認した
  • 眠気・ふらつきなどの変化を共有した
  • 環境や関わり方による影響を確認した
  • 薬について自己判断で変更・中止していない
  • 家族と施設で情報を共有する機会を持った

ミニQ&A

Q. 家では穏やかだったのに、施設では薬が増えるのはおかしくないですか?
A. 自宅と施設では、人間関係や音、生活時間、介助の場面などが異なります。そのため、施設で初めて困りごとが目立つことはあります。薬の必要性は、施設での具体的な状況と本人の変化を含めて医療職と確認することが大切です。
Q. 家族として薬を減らしてほしい場合、どう伝えればいいですか?
A. 「減らしてください」とだけ伝えるより、「薬が増えた理由」「変更後の効果」「眠気やふらつきなどの変化」「今後見直す可能性」を確認し、医師や薬剤師などの医療職を含めて相談すると話し合いやすくなります。
施設で薬が増えたと聞くと、家族が不安になるのは自然なことです。一方で、面会で見える姿だけでは、一日の生活すべてを知ることはできません。まずは「何が起きていたのか」「薬を変えてどうなったのか」を施設と一緒に確認してみましょう。薬のことだけでなく、本人が安心して過ごせる環境や関わり方も含めて話し合うことが、より納得できるケアにつながります。明日の面会では、ぜひ「普段の一日はどんな様子ですか?」と一言尋ねてみてください。
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