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2026.06.05

時々見に来るだけで、何が分かるの!

認知症介護では、「施設に入るべきか」「まだ家でみられるのではないか」と家族間で意見が割れることがあります。特に、昼間だけ関わる家族と、夜間も介護を担う家族では見えている現実が大きく違います。この記事では、責め合いにならずに気持ちと状況を共有し、施設入居について話し合うための実践的な工夫を紹介します。

課題の本質

家族間で介護の意見が合わなくなる背景には、「介護量の差」があります。昼間に短時間だけ会う家族には、夜間の徘徊(歩き回ること)や不眠、何度ものトイレ介助、突然の不安訴えなどが見えにくいものです。

また、親への思いが強いほど、「施設に入れるのはかわいそう」「まだ頑張れる」という感情が出やすくなります。一方で、主介護者は疲労や睡眠不足が積み重なり、「もう限界」という気持ちを抱えています。

どちらが正しい・間違っているではなく、見えている場面が違うために認識の差が生まれている状態です。そのため、感情だけで話すと衝突しやすく、具体的な事実共有が重要になります。

実践のコツ

1)「大変さ」を数字と記録で共有する

手順

夜間の起床回数、トイレ介助の回数、睡眠時間などを簡単にメモします。

「昨夜は3回起きた」「朝4時から対応した」など、具体的に伝えましょう。

理由

介護をしていない時間帯は、家族には見えません。

感情だけで「大変」と伝えるより、具体的な記録があると状況を理解してもらいやすくなります。

観察ポイント

介護者自身の疲労感、イライラ、不眠も確認します。

親本人だけでなく、介護する側の限界も大切な情報です。

よくある失敗

「私はこんなに頑張っているのに」と感情だけで訴えることです。

責められていると感じると、相手は防御的になり、話し合いが進みにくくなります。

2)「施設に入れる」ではなく「安全を守る」で話す

手順

施設入居の話をするときは、「介護できない」より「安全確保」を中心に説明します。

転倒リスク、夜間徘徊、服薬管理など、具体的な不安を書き出しましょう。

理由

家族は「見捨てるのでは」という罪悪感を持ちやすいものです。

しかし施設利用は、本人の安全と生活を守るための支援という視点が大切です。

観察ポイント

転倒が増えていないか、火の不始末がないかを確認します。

介護者が付き添わないと危険な場面が増えているかも重要です。

よくある失敗

「もう無理だから施設」と突然結論だけを伝えることです。

段階を踏まずに話すと、家族が強く反発しやすくなります。

3)一度、夜の介護を体験してもらう

手順

可能であれば、姉弟に夜間の宿泊や見守りをお願いしてみます。

短時間でも実際に経験すると、理解が大きく変わることがあります。

理由

認知症介護は、説明だけでは伝わりにくい負担があります。

特に夜間対応は、睡眠不足による消耗が大きく、体験による理解が効果的です。

観察ポイント

親本人の夜間の様子だけでなく、介護後の疲労感も共有します。

「一晩でこんなに疲れるのか」という気づきが出ることがあります。

よくある失敗

怒りを込めて「一回やってみれば分かる」と言ってしまうことです。

協力依頼ではなく対立になり、関係悪化につながる場合があります。

4)第三者を交えて話し合う

手順

ケアマネジャーや地域包括支援センター職員に同席してもらいます。

家族会議として、現状と今後の選択肢を整理しましょう。

理由

家族だけだと、感情的になりやすく話が平行線になりがちです。

専門職が入ることで、介護負担や安全面を客観的に整理できます。

観察ポイント

「誰が悪いか」ではなく、「どう支えるか」に話題が向いているか確認します。

施設以外の選択肢も含め、冷静に比較できているかが大切です。

よくある失敗

主介護者が限界になるまで一人で抱え込むことです。

早めに外部支援を使うほうが、家族関係も壊れにくくなります。

チェックリスト

  • 夜間介護の回数を記録している
  • 感情だけでなく事実を共有している
  • 介護者の睡眠不足を軽視していない
  • 転倒や徘徊リスクを確認している
  • 家族会議の場を作っている
  • 第三者への相談を検討している

ミニQ&A

Q. 家族が「まだ施設は早い」と反対します。
A. まずは「なぜ反対なのか」を聞いてみましょう。罪悪感や費用不安が背景にあることも多く、理由を整理すると話し合いやすくなります。
Q. 自分ばかり介護していて不公平に感じます。
A. その感情は自然なものです。我慢だけを続けると心身が疲弊します。役割分担や外部サービス利用を含め、負担を見直すことが大切です。
介護の話し合いで大切なのは、「誰が正しいか」を決めることではありません。親を思う気持ちは、どの家族にもあるはずです。そのうえで、今の生活を安全に続けるには何が必要かを一緒に考えていくことが重要です。まずは一晩の介護記録を共有するところから始めてみてください。
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