4月は施設の人事異動や担当変更が起こりやすく、認知症のある方にとっては「いつもの人がいない」「雰囲気が違う」という環境変化が大きな不安につながります。今回は、環境要因の中でも特に職員の入れ替わりによる不安に焦点をあて、現場で今日からできる対応を実践的に解説します。
01課題の本質
認知症の方にとって「馴染みの関係」は安心の土台です。顔、声の調子、介助の順番、言葉の選び方まで含めて日常のパターンとして記憶されています。4月の人事異動で担当者が変わると、そのパターンが崩れ、不安・拒否・落ち着かなさとして表れやすくなります。環境調整は物理的な空間だけでなく、人間関係も重要な環境要因です。
02実践のコツ
1)交代前に顔合わせの機会をつくる
旧担当職員と新担当職員が一緒に訪室し、数日かけて自然に関わります。
突然の交代は不安を強めるため、橋渡しの時間が安心感につながります。
表情のこわばり、視線、返答の有無、拒否の強さを確認します。
初日から新職員のみで対応し、一気に関係づくりを進めようとすること。
2)いつもの流れを崩さない
起床、食事、排泄、入浴などの順番や声かけのタイミングをできるだけ継続します。
人が変わっても生活リズムが同じだと安心しやすくなります。
いつもと違う時間帯に不穏が出ていないか確認します。
新職員のやりやすさを優先して手順を大きく変更してしまうこと。
3)安心できる言葉を統一する
職員間で呼びかけの言葉や説明の仕方を共有します。
言い回しの違いが混乱の原因になるためです。
特定の言葉で落ち着く、または不安が強まる反応を見ます。
職員ごとに説明がばらばらで、毎回違う内容を伝えてしまうこと。
4)4月は特に環境刺激を減らす
新年度の慌ただしさの中でも、廊下の騒音や急な集団移動を最小限にします。
人的変化に加え音や動きの変化が重なると不安が増幅しやすいためです。
ざわつく時間帯に落ち着かなさが増えていないか見ます。
異動説明や申し送りを利用者の近くで長く行うこと。
04チェックリスト
- 担当変更を段階的に行えているか
- 旧担当からの引き継ぎが具体的か
- 生活リズムを維持できているか
- 不安が出やすい時間帯を把握しているか
- 職員の声かけを統一しているか
- 4月特有の騒がしさに配慮しているか
05ミニQ&A
Q. 拒否が強くなったら?
A. 無理に進めず、馴染みの職員が短時間でも再度関わることで安心感を取り戻しやすくなります。
A. 無理に進めず、馴染みの職員が短時間でも再度関わることで安心感を取り戻しやすくなります。
Q. 新職員が早く関係を作るコツは?
A. 毎回同じあいさつ、同じ表情、同じ順番を意識すると信頼形成が進みやすいです。
A. 毎回同じあいさつ、同じ表情、同じ順番を意識すると信頼形成が進みやすいです。
4月の人事異動は、職員側には日常でも、認知症のある方には大きな環境変化です。まずは「いつもの安心を守る」ことを最優先に、1つだけでも今日から実践してみてください。関係づくりは急がず、安心の積み重ねが何より大切です。
