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2026.02.26

認知症の方の夜はお互いが大変です

施設入所後、「夜になると落ち着かない」「何度も起きて歩き回る」といった行動が強く出ることがあります。環境の変化は、認知症のある方にとって大きな負担です。本記事では、夜間不安が強まる理由と具体的な支援方法、そして家族にどう理解を求めるかまでを実践的に解説します。

課題の本質

入所は生活環境・人間関係・音・匂い・日課のすべてが変わる出来事です。
見当識(時間や場所の理解)が低下している方にとっては、「ここがどこか分からない」状態で夜を迎えることになります。

日中は人の動きや声で保たれていた安心感も、夜になると刺激が減り、不安が前面に出やすくなります。
さらに、疲労や脱水、便秘、服薬の影響など身体的要因も重なることで、夜間せん妄のような混乱状態が起こることがあります。

実践のコツ

1)入所直後は「夜が不安定になる」と予測する

手順

入所後1〜2週間は夜間覚醒が増える前提で見守り体制を整えます。

事前に職員間で情報共有し、声かけ方法を統一します。

理由

環境変化によるストレス反応は自然な適応過程です。

問題行動ではなく「不安の表現」と捉える視点が重要です。

観察ポイント

入眠までの時間、覚醒回数、歩行の様子。

表情の硬さや落ち着きのなさ。

よくある失敗

「昼寝が多いから」とすぐに生活リズムだけを問題視すること。

背景の不安を見落とすと関係性が悪化します。

2)安心材料を夜間環境に残す

手順

自宅で使っていた毛布や写真を枕元に置きます。

真っ暗にせず、足元灯で空間を把握できるようにします。

理由

見慣れた物は安心感を呼び起こします。

光があることで場所の混乱を減らせます。

観察ポイント

物に触れた後の表情変化。

起き上がる頻度の変化。

よくある失敗

安全優先で私物をすべて片付けてしまうこと。

安心材料まで奪わない配慮が必要です。

3)短く具体的な声かけで安心を伝える

手順

「ここは○○施設です。私がそばにいます」と端的に伝えます。

長い説明は避け、同じ言葉で繰り返します。

理由

情報処理が難しい夜間は、短い言葉が届きやすいです。

繰り返しは安心のサインになります。

観察ポイント

声かけ後の呼吸の落ち着き。

視線が合うかどうか。

よくある失敗

説得や注意口調になること。

安心よりも指示が前面に出ないよう注意します。

4)家族へ「悪化ではない」と説明する

手順

入所後は夜間行動が一時的に増える可能性を事前に説明します。

経過と支援内容を具体的に共有します。

理由

家族は「施設に入れたから悪化したのでは」と自責感を抱きやすいです。

適応過程であると理解できれば安心につながります。

観察ポイント

家族の表情や言葉のトーン。

不安や罪悪感が強くないか。

よくある失敗

専門用語のみで説明すること。

具体例を交えてわかりやすく伝えることが大切です。

チェックリスト

  • 入所前の生活リズム把握
  • 夜間照明の明るさ確認
  • 水分・排泄状況の確認
  • 私物の配置調整
  • 職員間の声かけ統一
  • 家族への事前説明

ミニQ&A

Q. 夜間行動が続く場合はどう考えますか?
A. まず身体要因(発熱・便秘・脱水など)を確認します。そのうえで環境や関わりを見直します。
Q. 家族が強く動揺している場合は?
A. 経過を具体的に説明し、「一緒に見守る姿勢」を共有することが安心につながります。
入所直後の夜間不安は、多くの場合「環境に慣れようとする過程」です。問題行動と決めつけず、不安の背景を丁寧に探る姿勢が信頼を育てます。まずは今夜、安心材料を1つ増やすことから始めてみましょう。それが穏やかな夜への第一歩になります。
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