「家に帰りたい」「ここは自分の居場所じゃない」という訴えは、認知症ケアの現場で非常によく見られます。否定すると不安や怒りが強まり、対応に疲弊しがちです。この記事では、訴えの背景を理解し、気持ちを落ち着かせるための具体的な関わり方を、明日から実践できる形で解説します。
01課題の本質
「帰りたい」は、実際の場所移動の希望というより、
不安・混乱・安心できる記憶への欲求が言葉になったものです。
時間や場所の見当がつきにくくなると、
「ここはどこか」「自分は何者か」という不安が強まります。
夕方以降に増えやすいのは、疲労や周囲の変化が影響するためです。
不安・混乱・安心できる記憶への欲求が言葉になったものです。
時間や場所の見当がつきにくくなると、
「ここはどこか」「自分は何者か」という不安が強まります。
夕方以降に増えやすいのは、疲労や周囲の変化が影響するためです。
02実践のコツ
1)気持ちをそのまま受け止める
- 手順
-
まず「帰りたいんですね」と言葉を繰り返します。
否定や説得はせず、目線を合わせて聞きます。
- 理由
-
気持ちを理解されたと感じると、不安が和らぎます。
安心が先に満たされると、行動も落ち着きやすくなります。
- 観察ポイント
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表情の緊張が緩むか、声量が下がるか。
- よくある失敗
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「ここが家ですよ」と現実を突きつけること。
混乱が強まり逆効果になります。
2)安心できる話題に切り替える
- 手順
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昔の仕事や家族など、安心の記憶を話題にします。
- 理由
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長期記憶は比較的保たれやすく、気持ちが安定します。
- 観察ポイント
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会話が続くか、表情が和らぐか。
- よくある失敗
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質問攻めにしてしまうこと。
3)環境で「帰った感覚」を作る
- 手順
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決まった席・なじみの物を用意します。
- 理由
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視覚的な安心が場所の理解を助けます。
- 観察ポイント
-
その場に座って過ごせるか。
- よくある失敗
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頻繁に環境を変えてしまうこと。
4)時間を味方につける
- 手順
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「少し休んでから考えましょう」と提案します。
- 理由
-
訴えは一過性のことが多いためです。
- 観察ポイント
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別の行動に移れるか。
- よくある失敗
-
すぐ結論を出そうとすること。
04チェックリスト
- 夕方以降の疲労
- 照明の暗さ
- 人の出入り
- なじみの物
- 声かけの速さ
- 否定していないか
05ミニQ&A
Q. 毎日同じ時間に訴えます。
A. 疲労や夕暮れの影響が考えられます。事前に休息や安心できる時間を作りましょう。
A. 疲労や夕暮れの影響が考えられます。事前に休息や安心できる時間を作りましょう。
Q. 外に出たがります。
A. 危険がなければ短い散歩で気分転換も有効です。
A. 危険がなければ短い散歩で気分転換も有効です。
「帰りたい」という言葉の奥には、不安や安心を求める気持ちがあります。正そうとせず、まず受け止めることが支援の第一歩です。今日から一つ、否定しない声かけを意識してみてください。小さな関わりの積み重ねが、穏やかな時間につながります。
